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「動くな!!」
俺の叫びに声が重なった。
見知らぬ男が、俺達に銃を向けて立っていたのだ。
男は、皿を持ったままのオッサンを後ろから羽交い絞めにする。
オッサンの手からは皿が滑り落ち、床で粉々に砕け散った。
「動いたら、こいつを撃つ」
オッサンの首に銃口を当てる男。
俺は両手を挙げ
「何だよ、お前」
男を睨みつけた。
「昨日、盗んだデータを渡せ」
苦労して手に入れたデータだ。
今日、依頼人に手渡す予定で、うまくいけば多額の金が手に入る。
そう簡単に渡すわけにはいかなかった。
「何のことだ?」
「とぼけるな。お前が盗んだんだろ」
「知らねーな」
「こいつがどうなってもいいのか」
正直、オッサンはどうなってもいい。
しかし、この美しい脚の持ち主を失うわけにはいかない。
苦労して手に入れたデータと理想の美脚。
どちらが大事だと問われれば、やはり……
「わかった。渡すから、そいつには手を出すな」
「渡してはいけません!」
オッサンの大声が響いた瞬間、羽交い絞めしていた男の身体がくるりと一回転し、宙に舞う。
背負い投げか。
宙に舞った男の身体を、長く美しい脚で蹴り上げるオッサン。
男は呻き声をあげ、その場に倒れた。
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