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「はじめまして、私はヴァレリア。」
ヴァレリアと初めて出会った時の印象は今でも良く覚えている。
僕の家のすぐそばにある、古びた小さな洋館に引っ越してきた家族が挨拶に来た時であった。
白い肌とブロンドの髪、そして青色の瞳……テレビで見たことはあったが、こんなに近くで目の当たりにしたのは初めてだった。
両親に挟まれるように立っていた少女は、僕のことをしばらくじっと見つめたあと、柔らかく微笑んで僕に挨拶をしたのだった。
ヴァレリアの両親ははるか北の国から、僕たちの国に移民としてやってきたという。
ヴァレリアの父親が若くして先端医療研究の第一人者であったために、近年、教育と研究開発に力を入れ始めた政策方針もあって、大学の教員として僕の国に迎え入れられたのだそうだ。
僕とヴァレリアは自然に仲良くなった。
偶然にも僕とヴァレリアが同じ歳であり、近くに同じ年頃の子どもが少なかったというのもあるだろう。
小学校に入学するまでの1年余り、僕たちは毎日のように一緒に遊んだ。
生まれた頃はこの国の都市部に住んでいたこともあり、ヴァレリアは引きこもりがちな少女であったそうだが、雨が降っている日を除いては、僕らはほとんど外を飛び回って遊んでいた。
僕の両親は農園を経営しており、様々な果物を栽培していた。農園には多くの木陰があり、手入れが行き届いていたので安全だった。僕らはそんな農園の片隅に秘密基地を作っては、そこで遊ぶのが常だった。
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