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「そういえば、ビアンカと上手くいった?」
唐突にヴァレリアは僕に訪ねた。
「なんだそりゃ?」
僕がそう答えると、ヴァレリアは僕の反応が何か変であることに気が付いたようだ。
「何か隠しているでしょ……?全部正直に話しなさい。」
ヴァレリアは悪戯っぽく微笑むと、僕の顔を覗き込んだ。
お見通しってわけか……。
ヴァレリアが転校してからしばらく経ち、中学3年生となった僕が受験勉強に明け暮れていた頃、僕はビアンカに告白されたのだった。
ビアンカはクラスの中でも1、2位を争うほど人気があった女の子で、彼女に恋心を抱いていた男子がたくさんいたことも知っていた。僕自身、ビアンカが素敵な女性であることは認めていて、決して彼女が嫌いではなかった。だけど、自分の心の隙間を埋めるために誰かと付き合うのは何か違うと思ったから、僕にはビアンカの気持ちに答えることは出来なかった。
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