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 「あれ?」  僕とビアンカとの間にあったことを聞いて、ヴァレリアはちょっと意外そうな顔をした。  「ビアンカのこと好きだったんじゃなかったの?」  何をどう勘違いすればそうなるのか僕にはわからなかった。  「はあ?なんだそりゃ?どこ情報だよ!」  「お前こそ、父ちゃんの部下の研修医とは上手くいっているのかよ!」  この話は、ビアンカの件があった少し前に、クラスの女子から聞いたものである。彼女は、ヴァレリアの父親が勤める大学の食堂で、ヴァレリアと食事をする白衣を着た男性を目撃したという。ヴァレリアの父親は大学で先端医療研究を行っているから、その父親の下で学んでいる研修医の中から、有望な男性をヴァレリアに紹介したのだろうというのが、彼女の読みであった。  僕は妄想好きな女子の噂話に過ぎないと思っていたが、意外にもこの話はヴァレリアに思い当たる節があったようである。 「ふざけないで!あんな気持ち悪い男、2度と会いたくない!」   ヴァレリアは怒気を含んだ声で、こう吐き捨てた。 
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