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 ヴァレリアに対するクラスメイトの態度に最初から全く問題がなかったわけではない。  この国では珍しい、透き通るような白い肌とブロンドの髪を持ったヴァレリアは、周りの子供たちと明らかに異なった姿をしていたから、そのことをからかわれることはあった。  だが、ヴァレリア自身に言葉の壁がなく、考え方も皆と何ら変わることがなかったので、自然と皆の中に溶け込んでいくことが出来たのである。  実際にヴァレリアがどう考えていたのかは知らないが、肌や髪、瞳の色が他の子とは違っていることを彼女は自覚していた。だから、そのことを指摘されることには慣れており、ヴァレリアもべつだん気にしていないようだった。  だが、タイタニア火山の噴火が発生してから2年が経過したのにも関わらず、依然としてその活動がおさまる様子を見せなかったことで、状況は徐々に変わりつつあった。  世界的な食料不足に対応するために、国際機関からの支援要請が来た程度で済んでいるうちはまだ良かった。  この国で生産された農産物を海外に持ち出して流通させるために、多くの外国資本がこの国に入り込んできた。さらには外国資本によって農地の買い占めが起こり、政府が対策に乗り出した頃には、かなりの土地が海外資本の支配下に置かれてしまったのである。  多くの外国人労働者がこの国に流入し、ある街では流入した外国人が形成したコミュニティが半ば治外法権地域と化して、社会問題となっていた。  この国の経済は発展途上にあり、国際的な経済援助を必要としていた。そんな折にこの国よりはるかに経済的に発展した国々が投資と称して入り込んできたのだから、多少の横暴は泣き寝入りするしかなかった。  この国の人々はある種のおおらかさがあったが、だからといって自分の国が他国の人々に蝕まれていくのを座視しているほど甘くはない。  こうした状況下では、人々は排他的にならざるを得なかったのである。
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