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「貴女、私のメイドになりませんこと?」
黒塗りの高級車から話しかけられ私は固まった。すぐに車の窓が下がり、声の主が現れる。金髪のお嬢様ロールに主張の激しいピンクのリボンが車の暗い照明からでもはっきりとわかった。まじまじと見ていると、先程よりも険しい口調で話しかけられた。
「ちょっと、聞いてますの?」
「え?あ、すいません。」
つい敬語になってしまう。私が返事をすると、向こうはもう一度最初と同じ質問をしてきた。
「貴女、私のメイドになりませんこと?」
「あの、それってどういう・・・?」
「・・・・質問に質問を返さないでくださらない?」
「す、すいません。でも、突然メイドと言われても、想像つかなくて・・・・。」
私が答えると、運転席から執事服の老人が降りてきて、後部座席のドアを開ける。そして、私に向かって一礼した。
「失礼。」
そう言って私を軽々持ち上げ、お嬢様の隣に座らせた。一瞬のことで何が起こったのかわからず、ぼんやりしているとドアは閉まり、車は走り始めてしまった。
「ちょ、ちょっと!?」
「メイドの仕事がわからないなら、これから学べばよろしいですわ。」
「いや、そういう意味じゃなくて・・・!これから何処に行くんですか?私、学校に行かないと!」
「学校・・・・?」
私の言葉にお嬢様がきょとんとする。しかし、すぐに、開き直ったような顔で、
「まあ、なんとかなりますわね!しばらくの生活は問題ないですし、心配はいりません!」
あ、この人すごく大雑把な性格だ。 私は確信した。一体これからどうなるのだろう・・・?
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