こんにちは

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「そこ、角が拭けてません。やり直し。」 「は、はい。」 現在、私はメイド長であるマーガレットさんから指導を受けていた。昨夜、両親と話し合った結果、メイドとして働くという流れになったからだ。 「いいじゃない、あんたバイトもしてないし、頭もいいわけじゃないし!それに働く家はお金持ちなんでしょう?少なくともこれからあんたがお金に困ることはないんじゃないかしら?」 「お父さんもいいと思うぞ。椿のメイド服姿・・・ちょっと見てみたいしな~。人生何が起こるかわからないもんだ。いい経験になるんじゃないか。」 お父さんはともかくお母さんの意見は参考になった。他にやりたいこともない。将来なりたいものもない。それなら、雪見家のメイドになって、得意なことを身につけて、将来何かに役立てよう。そんな甘い考えだった。指導が始まって1時間とちょっと・・・もう体が悲鳴をあげている。 「まだまだ仕事はありますよ。モタモタしない。」 「あ、あの・・・休憩は・・・?」 マーガレットさんがにこりと笑う。 「そんなものはありません。正確にはあと3時間45分経たなければ昼休憩にはなりません。」 「思ったより厳しい・・・・。」 「手を休めない。」 ヒィヒィ言いながら、掃除をしているとお嬢様が、通りかかった。頭を下げるマーガレットさんに合わせて私も頭を下げた。自分の前をお嬢様が通りすぎるまでは頭を下げる、さっきマーガレットさんから教わった作法だ。こんなにすぐ実践することになるとは思っていなかった。と、お嬢様が私の前で立ち止まった。 「椿さん、お話があるのでこれから一緒に来てくださる?」 「え、あ、はい・・・じゃなかった、かしこまりましたっ。」 隣からマーガレットさんのため息が聞こえてきそうだ。お嬢様への言葉遣いには特に気を付けるようにと掃除の前に30分だけだが指導された。結果は見るも無惨なものになってしまったが・・・・。
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