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「そう思っているのはお母さんだけで、こんなずぼらな私を支えてきてくれたのは、紛れもなくお母さん、あなただよ。」
「俺は、そんな立派な人間じゃない。」
「けれど、妻を絶対不幸にはしないと思って今日まで生きている。」
「俺が常に迷惑をかけていても、あなたは常に私を励まし、支え、この家族を守ってくれた。」
「それに感謝以外のなにがある?」
「だから、俺にできる精一杯を今回用意したつもりだったが、不満か?」
私はそんなことはないと、強く首を横にふると、その気持ちだけで十分嬉しいと付け足した。
「あと二十五年よろしくね。」
「そりゃあ、また随分長いが、二人ならあっという間だろう。」
「その時は、隠さずに素直に教えてくれるといいかな。」
「わかった。 肝に銘じておくよ。」
久しぶりに、私たち夫婦は夜遅くまで、誰も観ないテレビをつけっぱなしにしながら、お酒を嗜んだ。
そのお酒は、特別な日に飲もうと約束していた『フォア・ローゼズ』、強いお酒が苦手な私に彼は優しく水を足してくれた。
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