25th  Anniversary

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 そして、一通り乾かし終えてから、今度は肌の手入れに移ろうとしたおき、背後でメールの着信を知らせる短い音楽が流れると、私はその音の発信源が旦那の携帯電話であることを確認し、なぜか今日に限ってその中身が気になってしまい、浮気を疑っていた時期ですら調べずにいた、モノを掴むと、なんのセキュリティも設定になっていない画面を開いた。  そして、メールの受信欄を覗くと、一番上に未読のメールがあり、その件名は【ご予約ありがとうございます。】と記載されていた。    そして、予約者名の欄には旦那と私の名前が書かれており、内容は、今度の連休に私と一緒にいくための旅館を予約していたようで、山形県の有名な温泉宿の名前が記載されていた。  これを隠そうとして、わざわざネットの履歴まで消しているのかと思うと、とても滑稽に思えたが、隠さずに言ってもらいたかった気もする。  そうすれば、こんな気持ちになることはなかったが、それでも私を想ってくれており、更にサプライズで喜ばそうとしたのだろうが、ここ数週間で私の寿命は随分と縮んだように思えた。  居間からイビキが聞こえなくなり、私は携帯電話をもったまま彼の元へむかい、このメールの内容を見てしまったことを告げると。  まだ完全に頭が動いていないのか、目を細めながら「しまった。しまった。」と薄くなった頭を右手て撫でながら悔しそうに言っている。  「なんでこんなことしたの?」  「いや、単純に感謝しているんだよきみには。」  「感謝されるようなことをした覚えはないけど?」     
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