隠しきれていない。

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 目の前の男から発せられる言葉が、どれも信じられなくなり、生返事が多くなってしまい、それが気に食わないのか、彼は自然と会話を辞めた。  あれから一週間経過するが、自然と私たちの会話は無くなり、主に私が会話を無理やり止めてしまうのが原因であるが、あまり話したくのが本音であり、あからさまに避けるような行動もとってしまいがちになる。  こうなったら、いっそのこと話して楽になろうとさえ思ってきている。    息子が聞いたら、ビックリするだろうけど。  もちろん、ご飯は手を抜かずに作っているつもりだが、今朝は味噌汁が味気ないと言われて、つい怒鳴ってしまった。  旦那は「ごめん」と言ってくれたけど、その言葉が更に私をイラつかせる。  彼が仕事にいった後に、思い返してみると、私の手料理に文句を言ったのは、おそらく初めてではないだろうか?  お昼にもう一度、朝に残った味噌汁を温めなおして食べてみると、出汁を入れずにつくったのか、味噌の味も下に塩辛さが残るだけだった。  私はそのまま、音もなくテーブルに伏すと、何年ぶりだろうか、悲しくてやるせなくて、泣いてしまった。  大好きな海外ドラマが終了したときに泣いたのが、おそらく最後であろう。     
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