心のモヤモヤ

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「おはようございます!」 あの人の声が耳に入る。 オレの横を通った彼は、小さな背中をよりいっそう丸めた。 オレは何か悪いことをしたのだろうか? 分からない。 「アレックスさん、おはようございます!」 社内で1番を争う可愛さだと言われている女性が満面の笑みで挨拶をしてくる。新しい教育係だ。 化粧っ気の感じられない顔は、たしかに整って綺麗だ。 「オハヨウゴザイマス、カオリさん」 こちらも笑顔で返すと、彼女は頬をあからめた。 横目で彼を見ても、彼は部長のデスクで話をしており、こちらなど見向きもしていなかった。 早速仕事を一緒に始めようとするカオリをなだめ、オレは春音(はると)の元へ向かった。
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