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「なんでこんなところに?」
家への道を歩きながら理仁に尋ねる。卒業してから就職しても、会ってはいるけど、最近は理仁が忙しくてあまり会えてなかった。
「もう2ヶ月くらい会ってなかっただろ?だからハルの顔が見たいなって思って、今日は早めに仕事が終わったから迎えに来たんだよ」
「そうなの?嬉しいけど!でもせっかく早く帰れるのに俺と居るんでいいの?」
「うん、当たり前だよ」
ハルは俺の...って理仁が続けて言おうとしたところで、彼は言葉を止めて辺りを注視し始めた。
どうしたんだろう?
聞こうとしたら、理仁がいきなり俺の腰に手を回してくる。
「わっ、びっくりした、さっきからどうしたの?」
一瞬険しい顔をしていた彼はすぐにいつもの優しい顔に戻って「大丈夫だけど、ちょっと早めに歩こうか」って言って、俺も連れられるがままに早足で家に向かったのだった。
──その頃のアノ人
あいつは誰だ?あんなやつオレの情報にない。春音さんがあんなに楽しそうにして...
しかもあいつ、オレの視線に気付いた。誰だかとかはわからないだろうが、直感的に危ないと思ったのだろう。春音さんの腰に手を回してどこかへ行くなんて...
「ウウゥ...」
そうして暗闇のなか、アノ人は理仁に唸るのであった.........
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