イチカバチカのデート作戦

1/10
前へ
/79ページ
次へ

イチカバチカのデート作戦

sideアレックス 最近春音さんがおかしい。 いや、オレの教育係を降りてからオレに対しては元々変なのだが、この前の夜変な男と居るのを見てからずっと様子が変なのだ。 無意識のうちにものすごい量の仕事を完璧に終わらせていたり、キーボードを打つスピードが通常の3倍だったり...会社的には素晴らしいことなのだが、目は死んでいて心ここに在らずという感じだった。 昼休みになり、彼に話し掛けに行ってみる。 「春音サン、ご飯いきませんカ?」 「うん、いいよ」 「エッ......」 満面の笑みで返された。快く承諾。なんていうことなのだ。 本当に春音さんはにっこにこ笑顔で付いてきて、食堂に着く。 席を確保して、食券をそれぞれ買ってカウンターに出す。オレはカツ丼にしたが、春音さんは激辛カレーにしていた。 「アレックス、美味しいね」 「あ、ハイ...ダイジョウブですか?」 春音さんは笑顔でカレーを食べながらあらゆる水を顔から流していた。額には大粒の汗、鼻からは鼻水が垂れてて、目からは涙がドバッと出ていた。 「うん、美味しすぎて色々出ちゃった」 「...ソウデスカ」 こんな春音さんは絶対おかしい。結局避けられている理由も悔しいが知らない。とりあえず元に戻ってくれ。 オレは意を決して春音さんの手をとった。 「オレと、出掛けてくれマセンか?」
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

769人が本棚に入れています
本棚に追加