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イチカバチカのデート作戦
sideアレックス
最近春音さんがおかしい。
いや、オレの教育係を降りてからオレに対しては元々変なのだが、この前の夜変な男と居るのを見てからずっと様子が変なのだ。
無意識のうちにものすごい量の仕事を完璧に終わらせていたり、キーボードを打つスピードが通常の3倍だったり...会社的には素晴らしいことなのだが、目は死んでいて心ここに在らずという感じだった。
昼休みになり、彼に話し掛けに行ってみる。
「春音サン、ご飯いきませんカ?」
「うん、いいよ」
「エッ......」
満面の笑みで返された。快く承諾。なんていうことなのだ。
本当に春音さんはにっこにこ笑顔で付いてきて、食堂に着く。
席を確保して、食券をそれぞれ買ってカウンターに出す。オレはカツ丼にしたが、春音さんは激辛カレーにしていた。
「アレックス、美味しいね」
「あ、ハイ...ダイジョウブですか?」
春音さんは笑顔でカレーを食べながらあらゆる水を顔から流していた。額には大粒の汗、鼻からは鼻水が垂れてて、目からは涙がドバッと出ていた。
「うん、美味しすぎて色々出ちゃった」
「...ソウデスカ」
こんな春音さんは絶対おかしい。結局避けられている理由も悔しいが知らない。とりあえず元に戻ってくれ。
オレは意を決して春音さんの手をとった。
「オレと、出掛けてくれマセンか?」
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