イチカバチカのデート作戦

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ある程度遊んでから適当に昼食を取って、今度は動物園のコーナーに行く。ここの目玉はホワイトタイガーだった。 とはいえ春音さんはあまり人気のない鳥や爬虫類のコーナーも楽しそうに見ていた。オレの情報の中に春音さんは動物も好きだと追加された。 最後にホワイトタイガーを見に行ったが、ちょうど餌やりショーを行っているところだった。 「はぁい、じゃあみなさん、いまからこの子にお肉をあげるから見ててねー!」 アシスタントのお姉さんが主に見に来ている子供に話しかける。キラキラした顔で見ている大人は春音さんだけだ。なんてキュートなんだ。 上から慎重に針金に吊るされた肉を下ろしていく他の飼育員の動きに子供と春音さんは釘付けだ。 タイガーは降りてきた肉をネコさながらに手で捉えばくばくと食べる。 「うわーっ、すっげ!かっこよ!兄ちゃんもそう思うよな!」 「うん!かっこいいね!」 小学生低学年くらいの男の子と春音さんは向かい合ってウンウン頷いている。楽しむレベルが一緒とは... 微笑ましい餌やりタイムも終わり、帰ることになった。春音さんはおかしいままだが、新しい一面も知れて少し安心もできた。 しかし春音さんは遊園地の退場口で突然固まってしまう。
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