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「囲まれる、こまった。でも、アナタ、走ってきた。嬉しかった!」
落ち込んでいた顔を嬉々とさせて、片言を一生懸命に話される。
彼の両手に包み込まれたはずの俺の手は全く見えない。
「そうですか、頑張って助けた甲斐がありましたね」
こちらもにこやかに返す。しかし彼は俺の顔を見つめたまま一向に手を離さない。
「どうしました...?」
なんだか恥ずかしくなってくる。30センチくらいかわる男、しかもイケメン外国人に見つめられる気持ちなんて味わうと思っていない...
「うわぁっ、ちょっ...」
どぎまぎしていると突然抱き締められた。
固くて大きい胸板、太くて落ち着く腕。異国の匂いが鼻をくすぐった。
「I have a crash on you...I love at first sight...」
(君に一目惚れだ)
「えっ、なんですか!?」
ぴったりと顔がくっついた胸から響いた流暢な言葉は、俺の耳には届かなかった。
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