陰湿な森

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けれど幸いなことに、 リリアは十四歳の娘の価値を知っていたのだ。   そして、母親譲りの面貌は、 整っている方だという自負もあった。   細くて柔らかくて 持て余していた蜂蜜色の毛髪も、 常々 『手入れを怠らなければ艶々な輝きで 殿方たちを魅了するはずなのに。 あぁ、もったいない』 と、癖の強い赤毛のエミィに 羨ましがられるほどだから素材は良い はずだ。だぶん。   成長不良で 少々痩せぎすの体格の分を差し引いても、 奉公人として働くよりはずっと 高額を稼ぐことが出来るに違いない。 そう考えて自ら娼妓になることを志願したのだ。 当然、両親には猛反対された。   けれど、 ではどうやって暮らすのだと訊けば、 やはり二人とも口を噤むしかない。 直ぐ下の妹は九つ。 それから八つの弟、 六つの弟、 四つの弟、 ニつの妹、 生後半年の弟。 ……。
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