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「グズグズすんじゃねぇ!
もうちっと行きゃあ小屋がある、
そこまで辛抱して歩きやがれ!」
乱暴な言葉を吐かれても、
どんなに酷薄な人間であっても、
今のリリアたちにとっては
ヴァンの知識と経験だけが頼りだ。
白い息を荒げながら夢中で進み、
やがて少し開けた場所に、
ぼんやりと淡い光が見えてきた。
近づいてみると、
ソフィエルでも沼地の近くに見かける植物が、
まるで絨毯を敷き詰めたように
半球を描く建物の外面を覆っていた。
胞子で繁殖するというその植物は、
暗くなると淡い緑色に発光する性質を持っていて
夜道の目印になってくれるのだ。
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