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ちなみに小屋というのは
岩を積んだだけの簡素なものだった。
扉のない出入口がぽっかりと開いていて、
どちらかと言えば洞くつや
岩屋と呼んだ方が近いかもしれない。
小屋自体は大きく、
中央の一番高くなっているところは
大人の背丈ほどもある。
ヴァンは手にしていたランプで、
小屋の中に獣や妖獣が潜んでいないかを
注意深く確認した後、
リリアたちを順に中へ押し込んでいった。
植物が外の冷気を遮っているのだろう。
小屋の中は想像よりずっと暖かい。
中央部にはたき火をした痕跡があり、
奥には薪が積まれている。
ヴァンは大きなリュックから、
道具を取り出して手馴れた様子で
火をおこしていく。
その間に着替えを済ませたリリアたちは、
たき火の近くで膝を抱え無言で身体を温めた。
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