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ソフィエルでは少女が三人も集まれば、
それはそれはかしましいものだったが、
ジュリアとアラベルは殊のほか無口だった。
当初こそリリアはあれやこれやと
二人に話しかけたりしたのだけれど、
「うん」「ううん」「別に」
といった気のない返事が
虚しく戻ってくるだけの会話が
丸二日続くに至り、
普段は物事をあまり深く考えない
性分のリリアにも、
二人が今はお喋りを楽しむ気分ではない
……のだろうということに
気付いたのだった。
旅の事情を考えれば無理からぬ話である。
そんな訳で、
しばらく無言で炎を見つめながら、
ようやく身体が暖まった頃を見計らったように、
もそもそした食感のパンとチーズ、
干した羊の肉がそれぞれに与えられた。
そして、
それらを手渡したヴァンは、
手枕で横になり羊肉を肴に酒瓶を傾け始めた。
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