陰湿な森

15/17

155人が本棚に入れています
本棚に追加
/421ページ
ソフィエルでは少女が三人も集まれば、 それはそれはかしましいものだったが、 ジュリアとアラベルは殊のほか無口だった。 当初こそリリアはあれやこれやと 二人に話しかけたりしたのだけれど、 「うん」「ううん」「別に」 といった気のない返事が 虚しく戻ってくるだけの会話が 丸二日続くに至り、 普段は物事をあまり深く考えない 性分のリリアにも、 二人が今はお喋りを楽しむ気分ではない ……のだろうということに 気付いたのだった。 旅の事情を考えれば無理からぬ話である。 そんな訳で、 しばらく無言で炎を見つめながら、 ようやく身体が暖まった頃を見計らったように、 もそもそした食感のパンとチーズ、 干した羊の肉がそれぞれに与えられた。 そして、 それらを手渡したヴァンは、 手枕で横になり羊肉を肴に酒瓶を傾け始めた。
/421ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加