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リリアは尻餅をついたまま
呆然と小屋の出入口に眼を向けた。
(……何……なのー?)
いくら能天気なリリアでも、
こうまで怪しいことが続くと
作為を感じずにはいられない。
やはり妖属のせいなのだろうかと、
急に恐怖心が頭をもたげだす。
「ねぇ。何のためにあたしを呼んだの?」
涙声になりながら問い掛けるが、
しかし暗闇に続く穴から答えは返ってはこない。
リリアは出入口から眼を逸らさないように、
じっと視線を据えたまま立ち上がった。
ここではないのかもしれない。
けれどもう
あの声の主を探す気にはなれなかった。
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