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額や頬に張り付いた髪の毛を
そわそわと後ろへ撫で付けながら、
リリアはちらりとヴァンを盗み見た。
ランプの灯火に浮かび上がる
ヴァンの表情は険しく、
眼光を鋭くしてリリア見ていたが、
「まあ良い。次からは気ぃつけろ」
それだけ言うと、
小屋へと引き返していった。
横になって漫然と炎を見つめながら、
リリアはあの不可思議な声のことを考えていた。
落ち着いて考えてみればみるほど、
不思議で仕方がない。
身体はこっそり調べてみたけれど、
膝頭の擦り傷以外には目立った外傷もなかった。
(幻聴が聞こえて時々激痛を感じる病なんていうのもあるのかしらね?)
朝になったらもう一度
あの小屋を見に行ってみようかしら?
などと考えていると、
隣で横になっていたジュリアが身じろぎをして、
むっくりと起き上がった。
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