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残されたリリアとアラベルは顔を見合わせて、
それからどちらからともなく外に眼をやる。
「さっきの……ジュリアさんの悲鳴ですよね?」
嫌な胸騒ぎを覚える。
動悸が激しくなり、
暑い訳ではないのに背筋を汗が伝い落ちる。
リリアは胸を押さえて苦しげな喘ぎを繰り返した。
(もしかしたらジュリアさんも、
あの変な声に誘われているんじゃないかしら?)
そう思うと、
いても立っても居られず
リリアは薪を手に取った。
先ほどの自分のように炎を眼にしたら
ジュリアもきっと安堵するだろうと思ったのだ。
「何するの?」
小屋の出入口へ向うリリアを見て
アラベルが眼を丸くする。
「これを持って外にいたら目印になりますから」
「でも、ここに居ろって言われたじゃない」
「大丈夫です。小屋からは離れませんから」
言いながら
リリアの身体はもう穴をくぐりかけている。
アラベルもそれ以上何も言わなかった。
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