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どれくらい経っただろうか?
時間にすれば
たいして経ってはいないのかもしれない。
それを裏付けるように、
リリアの持っている薪は
それほど短くもなっていない。
けれど、
心細い思いでヴァンとジュリアの帰りを
待ちわびる二人にとっては、
とてもとても長い時間にも思える頃。
木立を縫って明かりが揺れるのが
一瞬だけ瞳に映った。
それほど遠いところではなさそうだ。
「ヴァンさん?」
光った辺りに眼を凝らしながら呼びかけるが
返事はない。
リリアは入口のところに座り込んで、
同じく外に眼を凝らしていた
アラベルと顔を見合わせる。
「アラベルさん。今の?」
「うん。光が見えたね?」
やはり見間違いではなさそうだ。
けれど、何度呼びかけても、
声を張り上げても返事は返ってこない。
「どうしたのかしら……」
二人はしばらく顔を見合わせていたが、
やがてアラベルが訝しげに眉をひそめた。
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