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体中の血液が一瞬で足許へと下りていく気がした。
全身が総毛立ち、がくがくと膝が笑い出す。
(まさか……まさか……)
(大丈夫よリリア。
そんな物語のような出来事が
実際に起こるわけないじゃない)
強く強く
胸にそう言い聞かせながら
リリアはじわりと足を進めた。
暗い茂みの奥にほのかな明かりが見え隠れする。
薪を持つのと反対の手で
胸元の護符を握り締めながらそっと歩み寄ると、
木の根元に転がったランプが
心細げに揺らぐ小さな炎を灯していた。
駆け寄ってランプを拾い上げようとしたリリアは、
しかし次の瞬間、瞠目して息を飲んだ。
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