姿なき声

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泣きべそをかきながら辺りを見回すが、 どちらを向いても同じ景色が続くばかり。 「どうしよう……アラベルさん……」   呟く声は木立を震わせ、 やがて闇に融けていく。 しかし、ややあって。   大丈夫……   あたしは魔除けの護符を持っているのだから 妖属に襲われたりはしない……大丈夫。   先ずは小屋を探して…… それから…… そうだわ! 入口で火を焚きましょう。   そうすれば 妖属や獣は中に入って来れないわ。 朝になったら森を抜けて 近くの街で助けを求めて……   リリアは足許から這い上がってくる 恐怖を追い払うように考えを巡らせた。 きっと大丈夫と、 自分に言い聞かせるように何度も繰り返しながら、アラベルの待つ小屋を探し始めた。
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