森の中の館

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すると、 またしても霧が薄くなっている箇所が目に入った。 「あら。今度は向こうだわ」 樹木に遮られては迂回しながら、 何とか見失わずに間近まで来るが、 うっすらと光が見えてきた辺りで、 またしても視界は濃霧に閉ざされてしまう。 本当に妖属の仕業なのだとしたら…… 「もしかして、あたしで遊んでるの?」   エミィに借りた物語で、 いたずら好きな妖精と追いかけっこをした 少女の話があったのを思い出す。   少女はその後、 妖獣の巣窟に迷い込んでしまい―― ―― ―― 「さて。どうしたものかしら」   リリアは自らの思考を無理やり現実へ引き戻した。
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