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直ぐにでも確認したい好奇心と、
その後に襲い来るかもしれない
凶事への警戒心とで、
リリアはしばらく身動きする事が出来なかった。
しばらくの間、
目を閉じて息を潜めていても、
事態が変化することはなく、
相変わらず水底のような静けさが続くばかりだ。
好転も暗転もしない現状に痺れを切らして、
リリアはようやく瞼を開ける決心がついた。
額は大樹に預けたまま、
まずは足元を確認すると、
相変わらず濃い霧が立ち込めてはいるが、
明らかに先ほどとは明るさが違っていた。
前方方向から光がさしている。
(まだ夜が明けるには早いと思うのだけど……)
不思議に思いながら
樹木の向こう側へと視線を移したリリアは、
次の瞬間はっと息をのんだ。
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