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けれど、吹き抜けの高い天井に、
見るからに高級そうな照明が、
煌々と明かりを放ちながらぶら下がっているのが
見えるばかり。
「あのーう……」
「何だと?」
ひたすらにリリアを無視しつつ、
どことも分からない所を見据えていた男は、
再び意味不明な言葉を発して、
何事か思案するように顎に拳を当てた。
「どうしたんですか?」
睫を瞬かせながらそう訊ねると、
不意に男はリリアに視線を戻した。
「私の部下がお前に助けられたと言っているが、
本当か?」
「助けた?
いいえ。あたしは誰も助けてなど……
っていうか誰と話してるんですか?」
しばらく忙しなく辺りを見回していたリリアは
「あっ!」と声をあげて、
自分の様子をじっと観察している
男の顔を見上げた。
「もしかして、あの声! ……ですか?
頭の中に直接話しかけてくる。
あれ? ……でもおかしいわね。
あたしには聞こえないわ」
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