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「食事が済み次第
私の部屋へ連れて来るように。
ではアンナ。後は任せたぞ?」
「はい。承知いたしました。
ゼルラーデル様」
「うむ」
と頷いたゼルラーデルに視線を向けられて、
リリアはぴしりと背筋を伸ばした。
「分かっているとは思うが。
食事の前にその泥だらけの服を何とかしてくれ。
そのような格好で
屋敷の中を歩き回られては堪らない」
「はいはい。分かっておりますよ」
リリアを指差して眉をひそめるゼルラーデルに、
拍子抜けするくらいのんびりとアンナが対応する。
「さぁ。リリアさん。
お食事の前にお風呂にいたしましょうね。
自慢の温泉なんですよ」
うふふ。
と笑って歩き出したアンナに続き、
リリアは毛足の長い深紅の絨毯に、
出来るだけ泥を落とさないように
気をつけながら浴場へと向った。
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