森の中の館

27/36
前へ
/421ページ
次へ
「リリアさぁーん?  あまり長い時間浸かっていては、 湯中りをしてしまいますわよー」   脱衣室から届いた声に、 リリアは瞼を開いて唇の端を上げた。 少々お節介なところがあるようだけれど、 アンナはとても優しい人柄のようだ。 「ええっと、これは……」   リリアは指先で摘み上げた下着らしいものを まじまじと見つめて首を傾げた。   気を取り直して脱衣室の中を見回すが、 他に下着と思しきものは見当たらない。   という事は―― (やっぱり。これがズロースなのよね?)   リリアが手にしているのは、 ほんのちょっとの布で作られた下着だった。 (こんなに小さなズロースは見たことがないわ) それに生地が驚くほど薄い。 リリアは両手で摘んだ下着を 左右に引っ張ってみた。 (簡単に破けたりはしなさそうだけれど……)
/421ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加