森の中の館

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もちろん 自分が贅沢を言える立場ではないことを 充分理解しているし、 何よりあまり物事を深く考えない性格のリリアは、 与えられた下着を素直に身に付けて、 続いてこちらもかなり布を節約して作られた 夜着に腕を通すことにした。   とは言え、 なにぶん節約して作られた服だ。 もちろん袖などはついていない。 妙にひらひらした裾から頭を入れて、 細い肩ひもに両腕を通したら終わりだ。   しかも大きく開いた胸元と、 太ももの半分までの丈しかない 裾の部分の生地が下着以上に薄く、 所々に穴が空いているというありさま。 (もしかして……お金持ちではないのかしら?) リリアは頬に手をあてながら、 ふとそんなことを考えた。
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