森の中の館

29/36
前へ
/421ページ
次へ
けれど、 こんなに立派な浴場を維持するには 目が飛び出るほどの大金が必要だろうし、 脱衣室の備品の数々も高価そうな物ばかりだ。 (きっと、 あたしの身体に合う服がなかったんだわ。 ……まさかアンナ様の夜着を お借りするわけにもいかないし……) そもそも、 いきなり訪ねてきた自分に合うサイズの 服や下着を用意するということ自体に無理がある。 あるだけありがたいことなのだ。 贅沢は言えない身のリリアは、 そう自分を納得させて脱衣室の扉を開けた。 「あらあら。まぁまぁ。お似合いだこと」 リリアの想いとは裏腹に、 アンナは何故だかとてもご満悦のようだ。
/421ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加