155人が本棚に入れています
本棚に追加
「アンナ様。
けれど……この夜着は少しだけ……
ええと、露出が多くありませんか?」
生地が少ない。
穴が空いている。
などという失礼な言葉を使わないようにと、
珍しく気を使いリリアが言うと、
アンナは途端に表情を曇らせた。
「あらま。お寒いですか?」
「いいえ。寒くはないです。
少しだけ風通しが良すぎて
落ち着かないですけど……」
屋敷の中は隅々まで温められていて、
どこにいても寒くはない。
リリアとしては是非、
後半部分に耳を傾けて欲しかったのだけれど、
当のアンナは前半部分を聞くなり
ぱっと表情を明るくした。
「それは良かったですわ。
さぁさ。傷の手当をいたしましょうね」
どうやら後半部分はアンナの耳には
届かなかったらしい。
最初のコメントを投稿しよう!