森の中の館

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「ん? あれ? おいしい?」 野菜の甘みが溶け出していて、 思いのほか美味なスープに自然と顔が綻ぶが、 しかし、問題は尻尾の方だ。 ほろりと解れた尻尾の肉を スープと一緒にすくって、 ぎゅっと眼を瞑り、 更なる覚悟で以って口に入れた。 「わっ。なにコレ!?」 しっかりと煮込まれた肉は柔らかく、 想像していたよりも数百倍は美味しい。 「うふふ。お気に召しましたか?」   無言で何度もスプーンを口に運ぶリリアに、 アンナは嬉しそうににこにこと笑いながら そう訊ねた。 「はい。シッポが口の中でほろほろです」   頬張っていた肉を飲み込んでそう答えると、 アンナは満足そうに頷いた。 「そうそう。ほろほろなんです」   美味しい美味しいと唸りながら、 リリアは出された料理を全て綺麗に食べ終えた。 そして、 満腹になった後には 睡魔が襲ってくるのは世の常というものだ。
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