館の従事者

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「ええと……やっぱり 妖属の方なんですか?」   思わず想像してしまった怪しげな研究を 頭の中から追い出しつつ訊ねると、 クロゲンは口元から笑みを消し 鼻の根本に皺を寄せて、 不満げに黒い下唇を突き出した。 「リリアさぁ。それ止めない?」   意味が汲み取れずリリアは首を傾げる。 「人間は直ぐに、 人間と他の生き物を区別したがるけどさぁ、 それってすっごくカンジ悪いんだよね~」   真っ直ぐに見つめてくる黒曜石のような瞳は、 昨夜リリアが遭遇した妖獣の醜悪でいて知性の欠片も持ち合わせていない、 まるで濁ったガラス玉のような瞳とは、 そこに映し出される景色さえ 違って見えるのかもしれない。   そんなことを考えながら、 吸い込まれそうな深い瞳を 黙って見つめるリリアに、 クロゲンは言い聞かせるように継いだ。 「ここではそんな考えは通用しないからね。 それにさぁ、 ここではリリアの方がイタンなんだよ?」 (あたしの方が異端?)   思いもよらない言葉に、 ただただ驚いて眼を丸くする。
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