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記憶は時と共に薄れて行く。
全てを覚えている事なんて到底不可能。そんな事など出来る筈がない。
良い事も悪い事もそう、忘れて人は前に進む。
そんな事を、通勤中の電車の中、窓の外を流れて行く見慣れた景色を眺めながら何故だがふと思ってしまって。
そして、今更ながらに思い出す。
平穏な日常に流されるうちにいつの間にか忘れ掛けていた“あの日”の事を。
そして思い知った。
“あの日”、身を持って体験した筈の出来事を
忘れて思い起こす事さえしなくなれば、俺はいつかその事を“完全に忘れてしまうのかもしれない”ーーと。
そんな事を、わりと真面目に考えて。
だからこうして再び筆を取ったんだ。
これはきっと誰の為でもない。
紛れもない、自分の為に。
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