罠のような恋。

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会議室を出てから、説教される恐怖に緊張をしながら通常の仕事をする。 なんで、楽しい時と同じで嫌だって思うことまでの時間というのは、あっという間に過ぎていってしまうのだろう。 ープップップッー 内線がなる。 「はい、もしもし瀬戸です。」 「俺だ。会議終わったから今すぐ、会議室に来い 。」 内線を切ってから、重い足取りで会議室へと歩き出した。途中にある自販機で焙煎コーヒーをブラックで買い、手土産にする。 このコーヒーが少しでも何かの役に立てばと願いながら、会議室の扉をノックした。 「はい。」 「瀬戸です、入ります。」 声をかけてから、扉を開けると会議室というシチュエーションがよく似合う主任がいた。 「あの…これ、よかったら…。」 少し、ビクビクしながらコーヒーを差し出す。 「ありがとう。」 そういいなかが、銀縁の眼鏡越しに微笑む姿にドキッとするのは致し方ない。 「苦っ!」 「へっ?!あれ、主任ブラックじゃなかったでしたけ?」 「……あぁ、あれはキャラだよ。若くて仕事ができるって言われてる人間が仕事しながら『おしるこ』とか飲んでたら微妙だろ?」 この人は、さらっとすごい事を口にしてる。 「おしるこ好きなんですか?」 「おしるこもココアもチョコドリンクも好きだよ。」 眼鏡を外しながら、笑う姿を少しかわいいと思ってしまった。
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