罠のような恋。

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「そんな話は、いいんだよ別に。ここ座れ。」 言われるがまま、主任の隣の席に座る。 膝が触れるような距離で真っ直ぐとこちらを見らると落ち着かない。 「なんで、呼ばれたかわかってるか?」 「お説教ですよね…資料が遅かった件で…。」 主任が小さな溜息を落とすのがわかった。 溜息の後、伸ばされた手が私の頬に触れる。 「っ!!」 驚いて体が強張る。 「…俺に触られるのは、嫌か?」 「…あっ、えっ…その…嫌では…なぃです…けど。」 「…なぁ、聖…。」 突然呼ばれた名前に心臓が騒ぐ。 「俺のモノにならないか?」 「…あ、あの、それって…。」 頬に触れる親指に力が入った。 「…返事は早めがいいけど、今すぐじゃなくてもいい。」 驚き過ぎて、ぱくぱくしながら頷くことしかできなかった。そして、ゆっくりと離されていく手に寂しさを感じでいた。 「あっ、聖はブラック飲めるのか?」 「あ、の、飲めないです。」 「そっか、じゃあ…。」 そういいながら、グッとコーヒーを運んだ口で私にキスをしてきた。
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