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キタキツネのスゥプラは空を見上げた。
厳冬とは思えない位に燦々と輝く太陽・・・
「何この生暖かさは?これが、父さんギツネの言っていた『地球温暖化』ってやつか・・・?
げっ・・・・・・?!!!!」
キタキツネのスゥプラは、足元を見て思わず絶句した。
「白い大地・・・いや、白い地が・・・こ、こんなに縮んじゃってる?!」
キタキツネのスプラが乗っているあんなに大きかった流氷が、既に4本足が何とか付ける位に溶けて小さくなってしまったのだ。
ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ・・・
熔ける!!熔ける!!俺の地が熔ける!!縮まる!!縮まる!!縮まる!!縮まる!!
堕ちる!!堕ちる!!堕ちる!!堕ちる!!堕ちる!!
海に堕ちたら・・・俺は・・・?!
ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、ぽたっ、
「俺の白い地が!!脚の・・・脚の・・・脚の・・・乗せばが無くなっちゃった・・・!!
たっ・・・たっ・・・だっ・・・誰か・・・助けてくれぇーーーーーーー!!」
どぼーーーーーーん!!!!
溶けて小さくなりすぎた流氷の氷から、バランスを崩して海に転落したキタキツネのスゥプラは、そのまま海の中を脚で必死に掻いても掻いてもがいてもがきまくった。
ばしゃ!ばしゃ!ばしゃ!ばしゃ!ばしゃ!ばしゃ!ばしゃ!ばしゃ!ばしゃ!ばしゃ!ばしゃ!
・・・なんてこった・・・!!
・・・俺は、あの向う岸の神秘的な原生林の森に憧れて、あそこの許嫁キツネを目とるのが夢だったのに・・・
・・・後もう一歩の寸前で、この様だよ・・・!!
・・・短い『狐生』だったな・・・俺・・・
ぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶくぶく・・・
泡を吹き出しながら、なすがまま海の底へ沈みゆくキタキツネのスゥプラに向かって、謎の黒い巨大な影が泳いできた。
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