ばあちゃん

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大学の長い春休みが明け、一年の時は黒髪だった女子が髪を明るくしていたり、メガネだった男子がコンタクトにしていたり、顔見知りの学生たちが彩りを変えている様子に、一つ学年が上がったのを実感する。 「ひさしぶり、優ちゃん。」 ひさしぶりに会う友人に話しかけると、一瞬きょとんとされる。 「ああ、薫ちゃんか。休みの間にだいぶ雰囲気変わったね。っていうかそれ、棒付きキャンディ?何味?」 そんなに変わっただろうか。首を傾げつつ、私は質問に答える。 「なんか辛いみたいな酸っぱいみたいな、変な味。」 優ちゃんはなんでそんなの買ったの、、と変な顔をする。 「これは、小さい頃遊んでた公園にたまに来てた飴売りから買ったんだ。」 優ちゃんは興味深そうに身を乗り出す。 「へぇ、その人イケメン?」 「いや、今も昔もおばあちゃん。」 なんだ、とがっかりしたような優ちゃん。ははは、と笑いながら私は話し始める。 甘い飴はいらんかえ、と公園に集まる子ども達に、100円もしないような飴を売ってくれるのだが、その飴の一つ一つは変わった名前の味がついている。 「えー、初恋の味、とか?」 それも多分あったと思うけど、誰も買わなかった。 「えー、なんか勿体無いね。」 そうかなぁ。子どもの頃は、みんなまだ初恋を経験していなかったから、舐めても味がわからないと思う。 「なるほど。」
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