呪いを解く方法
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呪いを解く方法

「良かったわねぇ、瞳子とうこちゃん。先方はすごくお気に召したみたいで、是非にっておっしゃってるそうよ。お返事どうする?」 電話の向こうの洋子叔母さんの声がやたらにハイテンションでボリュームが最大になっている。思わずスマホを耳から少し遠ざけた。 遡ること5時間、今日の午後私はお見合いをした。どうやら先方はまだ“お芝居”を続けているらしい。嬉しいのか悲しいのか、それとも怒っているのか、自分の中でグルグルと回る感情は掴めそうで掴めない。 「少し考えさせて。」 そう返事をしたら、考える必要は無いだの、もったいないだのと、洋子叔母さんがスマホの向こう側で大騒ぎをしていた。とにかく適当に通話を終了して、ふぅっと大きく溜息を吐き出した。 彼は私の事をどう思ったのだろう? 40歳まで後1年となった歳でお見合いなんて、もう懲り懲りだと散々断ったのに、洋子叔母さんのブルドーザー並みの押しはもの凄かった。断る気力も萎え、とにかく合うだけとお見合いを受け入れた。 お見合い用に適当なワンピースでも探さなければと思っていたら、早速洋子叔母さんが私の家に乗りこんで来た。両親共に亡くなってしまい、一軒家に今は私一人で暮らしている。洋子叔母さんは母の残した大量の着物の中から、今の私に合うものを選ぶ為にやってきた。 「明子姉は着道楽だったからねぇ。良い着物がいっぱいあるはずよ。せっかくなのにワンピースなんて勿体ない!」 和箪笥の中はほとんどが母の残した着物だ。唯一私の物は、成人の際に誂えてもらった振袖のみ。いくら未婚とは言え、10年前でも着られなかったものを、今更どうにもならない。 当時は見ているだけでも嬉しかったその派手な振袖が、未だに結婚出来ない自分を責めている気がして、今は直視できない。
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