0 魔王城の庭

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「そうなんですね、私は司書のハユ・リスター申します。こちらに職員証を通してくだされば、記録が残りますので入って構いませんよ。重要な書物は保管庫の中にありますので、そちらは職員が居る時にお願いします。」  司書の彼女は小さな声で本当はサボって寝て居るものがいると言っていたが、特に気にしない事にした。 「わかりました。ちなみに花について書かれたものはどの辺にあるのでしょうか?」 「すぐそこを左に曲がった先の左手にありますよ。」  説明してくれたは良いが実際ここからでは確認できない為、ルキアは早速行ってみようと礼を言い歩き始めた。 「なかなか広いですね。あぁありました」 広いとは聞いていたものの想像を上回っていたからだろうか、思わず声が出ていた。驚いてはいたが無意識のうちに声が小さくなっていたのに、ルキアは気づいていない。 「これは・・・」 さすが魔王城にある書庫である。珍しい本から最近出たばかりの本まで揃っている。その中でもルキアが手にとった本は、とても珍しい花々が載っている本であった。その本は五百年以上前に書かれたものであり、魔法がかけられていた。どうやら普通の本棚にあったことから、五百年ものの書物はそこまで古くないらしい。  この本のようにアクセサリーなどを作るときは長く持つようにと魔法がかけられる。ただそれにも限界があり、一般人がかけたものであれば二百年から三百年持つか持たないかと言ったところだ。それでもこの本は良い状態を保っている為、術者がいい腕を持っていたのだろう。  ルキアは表紙と裏表紙を見つめ、優しくページを開いた。 「薔薇科の植物ですか。」 開いたページはバラ科の植物についての説明がある場所だった。 ルキアは薔薇も桜もイチゴも好きなものだった為、つい読み耽ってしまった。次気づいた時にはハユに声を掛けられる時だった。 「もうここを締めますが、大丈夫ですか?」
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