0 魔王城の庭

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0 魔王城の庭

「今日からよろしくお願いしますね?」 「えぇ、もちろん。魔王様の大切なお庭ですから。」  真っ赤なカーペット敷いた静かな廊下で、二人は話していた。一人は城で働く魔王付きの秘書アディス・ローレン。そしてもう一人は今日から庭師として働くルキア・ハーバルだった。  本日めでたく庭師になった彼だが元々この仕事に就いていた訳ではなく、ただ友人に紹介されて決まったのだそうだ。魔王が住む城というくらいだからとても大きいのだが、それにも動じずむしろリラックスしているかのようだ。 「ではあなたの寝泊まりする場所へ案内しましょう。荷物はそこへおいてありますからほらさっさと行きますよ。」 「そんなにツンツンしないでくださいよ。あなたに害はないでしょう?」 「フンッ害ですか?確かに無いかもしれませんが、学生の頃の癖が抜けないのですよ。」  実はこの二人知り合いだった。もっと詳しくいえば同じ学校のライバルだった。 二人とも成績優秀で一位を競っていたのだ。だがアディスはルキアに一度も勝てなかった。敗因を問うても『努力が足りなかった』という答えしか返ってこないだろう。 そしてアディスの言う顔とはどう言うことなのか、それは簡単だ。どこをとっても整っているその顔のパーツ。そして滑らかで無駄のないその動作。告白する者は後を絶たなかったが、本人は笑顔で受け流してきた。それがアディスの癪に触るのだろう。 「ここですよ。あなたの部屋は少々他より狭いですが、ここしかなかったので。」 「いえ、十分ですよ。これだけあれば困りません。」  案内された部屋は広いと言ってもおかしくない広さがあった。まだ家具を置いてないというのもあるが、それでもルキアには広く感じた。1LDKという部屋は一人暮らしするのには勿体無いくらいだ。 というのが庶民の考え。これでも狭かったかなと思うのが貴族の考え。多少偏見はあるかもしれないが、魔界にいる貴族はある意味個性的すぎて殆ど皆そのような考えに走っていた。ただこれはしょうがないのかもしれない。
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