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さっきの万琴さんが言った設定でも、俺は不倫相手で元カレとかそんな設定じゃなかった。
設定だし本気でそう思ってなくても、俺のことは恋愛対象として見てないんじゃないかと感じる。
「万琴さん…あの…いつも通りのセックス、しませんか?」
「いつも通り?」
「面白味はないですけど、いつもよりちょっと激しくします。俺が色々バリエーションを増やしても、きっと万琴さんは満足しないと思うから…」
自分で言ってて情けない。
しかも万琴さんのせいにして当たって…最低だな。
「僕は透の手に余るようなら、セフレ解消しようか?ただの同居人で、お互いに干渉しないようにしてもいいよ?恋人じゃなくてよかったよね♪」
こんなこと言う万琴さんは、妖艶な笑みを浮かべているけど、目の奥には冷たい光が宿っていて、俺のことなんか簡単に切り捨てられるんだと悟る。
「万琴さん…」
「僕は詮索する人は嫌いだけど、もっと嫌いなのは嘘つきの約束破り。嘘つきでも最後まで嘘をつきとおせるなら、僕は騙されてあげる。中途半端に終わらせる人間は本当に嫌になる」
そう言って、万琴さんは髪をほどいて、エプロンを脱ぐと俺に背を向けた。
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