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「今日はイタリアン。早く出来るものにしたくて、素材重視にしたら買い物が増えちゃった。でも来週は少しご馳走を作るよ」
「あ、バレンタイン?! 嬉しいっ」
「メニューはお楽しみ。だから、来週はうちに来て? 用意しておくから」
「私も手伝うね」
「いやっ、大丈夫。絶対に、早く来ないで。作っておいてあげたいんだ……」
なんて優しいんだろう。嬉しくなって、彼に抱きついて耳を噛む。触れた頬がひんやり冷たい。外は寒かったみたいだ。
「じゃあ、チョコ、持っていくよ」
「いや、いいよ。チョコレートケーキを作っておくから」
噛まれた耳がくすぐったいのか、彼の声が笑っている。
「そうなの? でも何か持って行きたいなあ……」
「君が来てくれたら。それで……」
「うんうん。それで……?」
「いや、いい。ナイショ」
ナイショ、なんて気になるけれど、楽しい。
「何か温かい飲み物、淹れるね。何がいい?」
彼の体に回した腕を解いて尋ねる。
「じゃあ、コーヒー。インスタントでいいよ」
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