最高の彼氏

3/4

85人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
 「今日はイタリアン。早く出来るものにしたくて、素材重視にしたら買い物が増えちゃった。でも来週は少しご馳走を作るよ」  「あ、バレンタイン?! 嬉しいっ」  「メニューはお楽しみ。だから、来週はうちに来て? 用意しておくから」    「私も手伝うね」  「いやっ、大丈夫。絶対に、早く来ないで。作っておいてあげたいんだ……」  なんて優しいんだろう。嬉しくなって、彼に抱きついて耳を噛む。触れた頬がひんやり冷たい。外は寒かったみたいだ。  「じゃあ、チョコ、持っていくよ」  「いや、いいよ。チョコレートケーキを作っておくから」  噛まれた耳がくすぐったいのか、彼の声が笑っている。  「そうなの? でも何か持って行きたいなあ……」  「君が来てくれたら。それで……」  「うんうん。それで……?」  「いや、いい。ナイショ」  ナイショ、なんて気になるけれど、楽しい。  「何か温かい飲み物、淹れるね。何がいい?」  彼の体に回した腕を解いて尋ねる。  「じゃあ、コーヒー。インスタントでいいよ」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

85人が本棚に入れています
本棚に追加