ドーン・オブ・リハビリテーション

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もう少しで立てそうだが、毎回毎回立ち上がるたびに体の部位ごとに意識を向けるのは疲れるな。 そう思いながら寝た。 次の日のリハビリ。 俺は驚くほどアッサリ立ち上がれた。 というのも「立つ」という命令だけで体が動いてくれたからだ。 昨日は「立つ」という命令ではピクリともしなかった我が身が動いたのだ。 立つという行為を細かく分割し、一個一個丁寧に意識しながら動かし、反復練習することで 俺の体が「立つ」を覚えたのだ!! ……いやいや。そんなん乳児の頃に覚えたはずでは? どうやら脊髄のダメージにより、俺の体は色々な動作を“忘れて”しまったようなのだ。 ・立つ ・立ちから座る ・歩く ・こぐ ・しゃがむ などの動作を忘れているのだ。 下半身の記憶喪失である。 俺の下半身は ・膝を曲げる、伸ばす。 ・特定の筋肉に力を入れる、抜く。 などの原始的な命令は理解できるようだが、立つとか歩くとかの複合的な動作の命令は理解できないようだ。 これが神経にダメージを受けるということなのだ。 だから先生は動作を細かく分割して俺に教えて、改めて俺の下半身に「立つ」という動作を教え込んだのだ。 「練習してから、寝て起きると身体が自然と動きを記憶してくれるんだよ」 なるほど。寝る子は育つ。そういうことですね。 リハビリにも睡眠は大事! こうして俺は脊髄の圧迫損傷による神経のダメージで封印された『技』を 改めて『閃く』ために修行をすることになったのだ!! ロマサガみてーだな!! まずは『立つ』を修得したぞ!!
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