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すぐ隣で腰に手をやった兵士が数人いたが、皇帝がそれを止めた。
「第2皇帝恵宗と申す。数年ぶりだな、ナギル」
第2皇帝恵宗(第1皇子ワン・ム)は席を立ち、同じように腰を折った。
「座れ、一杯どうだ?」
「結構よ。それよりもなぜ私を呼んだの?」
皇帝からの誘いを断り、半歩退いた。
「それは後々分かる。さあ、」
「なにやら、変なことに巻き込もうとしているのかしら?」
紅い瞳がキラリと光った。目を細め、皇帝を見つめた。なにか隠している。
「感づくのが早いな。理由を話す前に、弟たちを紹介させてくれ」
弟なのか。この似ていない顔をしたこいつらは。
「右から第8皇子ワン・ウク、第3皇子ワン・ヨ、第13皇子ワン・ペガ、第4皇子ワン・ソだ」
皇子たちは席を立ち、腰を浅く折った。
「憎しみ、悲しみ、怒り、恐怖、絶望の魔女、ナギルと申します」
腰を折ると髪が顔にかかった。森に長く居座ると、髪を切る機会がなくなってしまう。
「そんな皮肉のこもった名を持っているのか?」
第10皇子ワン・ウンが首を傾げ、私に椅子を譲ってこようとする。
「この名は村の人々がつけた名です。お気になさらず」
手仕草で座らないことを示すと、ナギルは目は笑っていない怖い笑顔を浮かべ、皇子たちに背を向けた。
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