爆炎天女

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 しかし、私ごときでは、ただ書きなぐるだけしかできない行為であることを認めねばならない。  しかし、わたしは、だからこそ、幻魔大戦のキャラクターたちを配置し、彼らが、その自由意志に従って暴れるのを、筆記するしかできないのだ。  そう、居直るしかないのである。  さて、そんな中で幻魔大戦が、”宗教小説”といういわれ方をしているのは私も知っている。だからこそ、今まで、あえて、神とか悪魔とかという以上に宗教小説にならないように腐心してきたが、逆に、それを私には書けないのがわかったので、しかし、あえてそれに挑戦すると、ここで宣言したい。つまり、読むときにはご注意を・・ということなのである。  では、物語を始めよう。 <物語>  俺は、あの塩谷絵理子のことを、一度も忘れたことはない。  生身で”地獄”に落ちた、あの哀れな娘のことを。  たといそれが、あの娘の自業自得であったとしても、それでも、その背中を不用意に押して、その道を選ばせてしまったという自責の念、そしてその事実は、NYから日本に戻った今も、深く俺の胸の底に通奏低音として流れ続けているのである。  ああ、自己紹介が遅れた。俺の名は、犬神明。フリーランスのジャーナリスト、いわゆるのトップ屋だ。もっとも、本業は、狼男である。信じないだろうが、現実は変わらない。  年齢は、30代ってことにしておこう。いまや、妻子もちなのである。嫁さんを食わせねばならない責任世代になってしまった。  浮気ものの陽気な狼男の看板は、宙ぶらりんになっている。女好きなのは否定しないが、妻子のことを思うと、楽しい行為に没頭できないというか、その気になれない。  正直言う、俺は・・将来はわからないが、今は、妻子にぞっこんなのであるよ。悪いか?  嫁さんは、美人だし、子供も嫁さん似で、かわいいのだ。文句あるか。
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