1-チュッパチャプス

3/6
162人が本棚に入れています
本棚に追加
/82ページ
「誰か聞いていい?告白するの? まさきくんを断る人なんているはずない」 たった2ヶ月ちょっとで、断るような男なのにそんな風にいってくれるなんて、太一が好きになっただけあるなと思う。 「ごめん、好きとは違うと思う。でも、そいつの事が気になってしまって…由美ちゃんには申し訳ないんだけど、名前は言えない。告白するつもりなんて、絶対にないから」 「…まさきくん、それ、もうその子のこと好と言ってるようなものだよ。どうしても言えないなら、聞かないね。でも、私達これからだと思っていたから悲しい…」 グスンッと鼻をすする由美ちゃんを見て、胸が痛んだけれど、胸につっかえていたものがとれた気がした。 太一とは、ずっとただの友達。 いや中3では、太一の隣はまず俺といった感じで、親友だ。 由美ちゃんに、気になる子をもう好きなんだよと言われて、男の太一を何で好きなんだよ!と思う反面、こんなに気になるのはそのせいなのか…?と悩んだが、暫くしてこの気持ちを好きって言葉にすると全てが納得行く事に気づいてしまった。 太一は、太一で告白すればいいのに、由美ちゃん一筋でバカみたいだったが、そんな太一が好きだった。 太一とは高校は別々の高校に通っている。 たまに連絡は取り合うが、お互い新しい生活で精一杯だし、会ったりすることはない。 太一しか好きになったことが無かったから、太一だから好きで、高校になったら女子を好きになれると思ったが、俺は、男子ながらクラスのペット的な存在、愛されキャラの凛が気になっていた。 太一を好きだと気づき、親友として隣にいる事を選んで、告白もできないし、色んな苦しさを味わったのに、また同じ道を3年間歩くのか…。 凛は、高校1年にしては背も小さく160無い位で、クリッとした小さいけど可愛い目元とよく笑う笑顔が可愛いかった。 女子達は、他の男子達とは殆ど話しなんかしないのに、中性的な雰囲気の凛とはよく話す。 そんな女子達も2月14日のバレンタインが近づくと、色めき立ち、コソコソ凛に男子達の情報を聞き出していた。 そんな姿を背にして、男達もソワソワし出している。 俺を除いて…。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!