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その様子は、美田園管理官でも顔を上げて注視した。
が、…。
「さ~て、今日は何に割り当てられるかな~」
織田刑事が如月刑事に言い。
「ど~せ聴き込みじゃ無いの」
と、彼が返す。
真面目な顔をした木葉刑事は、市村・飯田両刑事に。
「被疑者は、全て確保したんですよね?」
凄く真面目な顔をした飯田刑事が。
「恥を掻かされた手前で、誰が逃すかよ」
市村刑事も、既に仕事モードの顔をして。
「昨夜に、所轄が誰か一人はゲロさせてるさ」
仲間に無視された里谷刑事は、更に身を皆に近付け。
「ゴホゴホっ、インフルエンザかもぉ~」
と、甘えるものの。
5人はスマホを取り出したり、捜査資料を持ち出して見ないようにする。
その様子に、里谷刑事が鬼へと変わる。
「おのれ等ぁっ、其処に直れっ」
間近に居た久坂刑事が大笑いして、一応とフォローを入れた。
遠目の美田園管理官も、氷結の無表情を崩して微笑む。 ・・いや、軽い破顔だ。
気力が無い後ろの方の応援の刑事達だが。 篠田班は、どうでもいいらしい。 煩いぐらいに元気で、手柄の事を引き摺る様子が無い。
其処へ、八橋刑事がマスクをして来るや、木葉刑事が。
「八橋君、大丈夫かい? ケーキ、食べるか?」
これには、大魔神様がお怒りに成られた。 所轄から応援で来ている年配刑事や中堅刑事は、流石は一課の前線で戦う刑事達と笑って見ていた。 小さい事に拘って居ないのが、良く解る光景だ。
そんな様子を見る美田園管理官は、何故に木田一課長がこんな事をしたのか解って来る。
(あれ位でいじける班じゃ無いみたいね。 篠田班か・・・、面白いわ。 郷田さんや砺波さんが頼るのも、判る気がするわ…)
其処へ、美田園管理官のスマホに連絡が入る。
‐ 今朝方、微熱が出始めた。 念の為、本日は休んで病院に行く。 後は任せた。 (木田) ‐
冬だから仕方ないが、一課長が病欠では遣るしかない。 刑事部長に連絡すれば、政治的な事を処理する必要が在るとのこと。 美田園管理官に任せるとして、存分に・・と付け加えられる。
(郷田さんに続いて、私も此処で篠田班と一緒ね)
こう思った美田園管理官は、席を立つや。
「皆さん、本日から木田一課長は御休みです。 熱が出始めたみたいだから、インフルエンザかも知れません」
その話に驚くのは、里谷刑事。
「ぐはっ、アタシじゃなくて一課長なのぉ」
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